代表者ブログ

消費税回避の達人、アマゾンのしたたかさ

2013年12月29日

アマゾンは法人税率の高い日本に当然のことながら、支店も現地法人も持たなかったが、日本に配送センターがあるということで、140億円の消費税の追徴課税が2009年に東京国税局からなされた。ネット販売では、日本に拠点を持たない、つまり日本に会社が存在しない場合、日本の納税義務者になりえないのだが、東京国税局は日本にある倉庫を日本に支店があるとみなして課税したのである。

 

アメリカにも消費税はある。ただし日本と異なり、地方税である。したがって、ネット販売会社には消費税を逃れる手段があるということである。アメリカでいう消費税(sales tax)は日本の消費税とは仕組みも課税標準も税率も異なるので比較は容易ではなく、特に州によって税率が異なるのが厄介である。よって、自動車などの耐久消費財など、わざわざ他の州まで買いに行く人たちは決して珍しくはない。そのようなアメリカでアマゾンは、どのようにして消費税を回避してきたのか?

 

ここで取りあげるのは有名な1992年のアメリカの最高裁の判決。この判決は日本にとって何の関係もなかったので、日本では報道していない。この訴訟は、イリノイ州にあるオフィス機器販売会社Quill社が、ノースダコタ州で商品を販売していたが、全く消費税の徴収も納税もしておらず、それに怒ったノースダコタ州がQuill社に対して消費税を支払えと訴えた。Quill社も徹底抗戦し最後に最高裁は「州外にあるQuill社が消費税を徴収するのにはあまりにも負担がかかり過ぎ、憲法に定める通商条項に違反する」という判決が出た。アマゾンはこれを最高に利用した。判決のポイントは「Quill社はノースダコタ州に支店や恒久的施設を置いていない」ということ。

 

ところが2010年のある時、テキサス州より269百万ドル(270億円)の追徴課税をするというレターがアマゾンに来た。当然、アマゾンは徹底的に対抗した。当時アマゾンの4か所の配送センターをシャットダウンしてまでも戦ったが、6年後の2016年より消費税を客から徴収することで和解した。

 

理由は配送センターの設立はアマゾンにとって即日デリバリーを可能にし、他社との差別化を図るという意味で、消費税との引き換えに戦略のプライオリティーの順位を変えた。この裏には、Brick and Mortar, Barnes & Noble, Best Buy, Walmart, Walgreenなどの大企業が州政府に働きかけたからである。本を売っているまではいいが、大型テレビなどの販売をアマゾンがやれば、2000ドルの商品で200ドルの違いが出るので、ショッピングセンターで買わないで、アマゾンに注文するようになる。

 

したがって最近アマゾンも、17の州で2016年からまじめに消費税の課税業者になると宣言したのである。考えてみれば当たり前の話で、日本ではとてもこのようにゆかない。そこで17の州では積極的に倉庫や配送センターをつくり、地元の雇用に貢献しだした。

 

ここからの話は日本政府も真剣に考えて欲しい。アマゾンは17の州のほとんどで熱烈歓迎を受け、州知事などはアマゾンの納税した消費税を感謝の気持ちとして、一部をアマゾンに返しますと言い出した。最高の州では、何とアマゾンが集金した消費税の85%をアマゾンに返すと言い出す始末。自分が集めた消費税が戻ってくる。このような粋な計らいを国税当局ができれば、世界のネット販売業者も日本に拠点を設けると思うが、いかがなものか?

 

 

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