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脱税密告者の報奨金、過去最高、アメリカ

2019年04月29日

Wall Street Journalによると、IRS(アメリカ国税庁)は2018年度(9月末締め)の脱税の内部告発者への報奨金が3億1200万ドル(350億円)となり過去最高額となったと発表した。これは今までの最高額であった2012年の1億2500万ドル(140億円)を大きく上回るとしている。内部告発者のおかげで2018年は14億ドル(1600億円)の税増収となり、2017年の1億1900万ドル(130億円)を大きく上回るとした。

 

IRSによると、2019年は内部告発者に対し既に1億1500万ドル(130億円)の報奨金を与えているとしているが、2018年では一人の内部告発者に対し何と1億ドル(110億円)の報奨金を与えており、これはかなりの金額で、彼一人で2018年度の全報奨金額の3分の1を占めている(この内部告発者は多国籍企業に勤めていたようである。)。今までの内部告発者に対する報奨金の最高額は1億400万ドル(111億円)だが、これは元UBSプライベートバンカーのBradley Birkenfeld氏で、2012年に米国人オフショア資産隠蔽を内部告発したものであり、なかば公然となっている。

 

そもそも内部告発者による報奨金制度ができたのは2006年に議会で発効してからで、内部告発者に対して200万ドル(2.2億円)以上の脱税摘発の大きな事件では、その回収額の3分の1を報奨金として内部告発者に与えるという制度である(200万ドル未満の小さな場合は報奨金割合も少なくなる。)。このように大きな報奨金額となると、多く従業員が内部告発者を夢見るわけだが、実際はそう甘くない。IRSは内部告発の4分の3をその場で断るとしている。残り3分の1の内、わずか7件に1件に対し報奨金が与えられという。

 

2018年は内部告発が2万9000件あったが、ほとんどがIRSに門前払い、小さなケースでは186件に対し1200万ドル(14億円)の報奨金が与えられている。著しい増加が見られるのは金額の大きなケースで、2015年には19件だったものが2018年には31件までとなり、金額は3億1200万ドル(350億円)となっている。これらの大きな報奨金を狙う内部告発者の殆どはこの分野に特化した弁護士を雇っており、弁護士報酬は報奨金の25-40%となっているという。弁護士はIRSに対して必要な証拠は口座のステートメント、内部メモ、Eメール、更には音声の録音だとしており、実際、内部告発者は盗聴器を身に付けて上司との会話を録音することも必要なようである。成功のカギは、IRSへほぼ全てのお膳立てをして証拠書類を提出することだとしている。恐ろしいことである。スパイを社内にいれたようなものであるが、報奨金商売は多いのであろう。

 

但し、内部告発者でもIRSに協力をすれば報奨金は受けられるが、自身が法を犯していれば法に従い罰則を受ける。上述したUBSのBradley Birkenfeld氏も30か月刑務所で過ごしている。また、報奨金を受け取るまでの期間は大変長く、7年と忍耐が必要である。5年でもらえれば早い方のようだ。大きな報奨金を受け取るケースの中で、今でも一番多いのはオフショア資産隠蔽を暴くものである。特にアジアでの資産隠蔽にIRSは大変興味を持っているようだ。ちなみに、報奨金は通常の所得税率で課税されるが、通常IRSで源泉徴収され、その後弁護士費用を差し引き、確定申告したのち、残金が内部告発者の手元に残る。

 

このような制度を日本も施行すればどうなるだろうか。出世競争に敗れたエリート社員たちの内部告発で新たな脱税スキャンダルが噴出するかもしれない。

 

 

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今後アジアの成長ペースが西側を上回り、世界のGDPは、北アメリカ、西ヨーロッパが占めるシェアを大きく上回り、48.1%に倍増する。それでは、アジアが世界を牛耳るのかというと、そう簡単ではない。二つのネックがある。一つは政治腐敗など各国の内政問題、もう一つはアジア内部での敵対関係だ。インド、中国では絶えず政治腐敗に対する民衆の怒りが課題になっている。そのため内部抗争が絶えないか、力で押さえつけるかである。
そして西側諸国は一貫性のある同盟関係にあるが、日本、インド、ベトナム、インドネシアなどは中国に戦々恐々としている。中国が同盟条約を結んでいる国は唯一、北朝鮮だけである。アジア太平洋でアメリカが役割を果たすことと、中国の覇権阻止が一致すれば、事態が変わるのではないか。

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