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郵便番号で知る、金持ちの町、アメリカ発

かつて、所得番付が公表されていた日本で一番、一人あたり住民税をたくさん払っていた市は、兵庫県芦屋市だといわれていた。

 

一方、アメリカでは、その町は郵便番号で表示されている。90210だ。9で始まる郵便番号はカリフォルニア州、そしてそれはビバリーヒルズ市である。ところが、このほどブルームバーグによると、1位は郵便番号33109となったと記事にあった。私もまったく知らないので、よくよく読んでみると、そこはマイアミ沖に浮かぶFisher Islandと呼ばれる佐渡島程度の広さの島で、この島には飛行場などなく、フェリーやボートでしか渡れないが、タワーマンションから大邸宅までが立ち並んでいるそうだ。ブルームバーグの調べでは、2015年時点での島民の平均所得はなんと250万ドル(2億8000万円)というではないか。

 

記事に沿って書くと、第2位はスタンフォード大学やフェイスブック等のハイテク会社が多く集まるカリフォルニア州シリコンバレーにあるAtherton市、郵便番号は94027。第3位は郵便番号33480、これはトランプ大統領の、例の安倍首相とゴルフをした別荘があるPalm Beach。第4位はスタンフォード大学のあるカリフォルニア州Palo Alto(94301)、第5位はニューヨーク州のHarrison市(10577)、第6位はペンシルベニア州Gladwyne(19035)、第7位はカリフォルニア州Century City(90067)、第8位はイリノイ州Kenilworth(60043)、第9位はマサチューセッツ州Weston市(02493)、第10位はカリフォルニア州のSan Francisco(94111)であり、全米50州のなかでもカリフォルニア州に多く偏っているのがわかる。カリフォルニア州でも特にシリコンバレーに近いところが目につく。

 

しかし、驚くことに、今回の発表でマンハッタンやビバリーヒルズが抜け落ちている。ベスト20位にも入っていない。マンハッタン(10005)は第21位で、平均所得は61万4000ドル(7000万円)、ビバリーヒルズ(90210)は第32位で、平均所得は57万5000ドル(6000万円)となる。これでは、豪邸を維持できないのではないかと思う(日本の感覚では想像できないが)。

 

日本では所得税の確定申告が前月、3月15日に終わった。申告の際、所得控除というのがある。扶養控除や医療費控除(最大200万円まで)などである。最近はふるさと納税等も加わった。

 

アメリカ1位のFisher Islandの納税者の所得控除(Itemized Deduction)の項目別控除額の平均は、なんと44万8100ドル(4700万円)で、慈善団体への寄付金が多くを占める。ただし、最も多くの所得控除を取っているのはカリフォルニア州のPalo Altoで、平均所得117万5000ドル(1億3000万円)に対し49万1600ドル(5500万円)となる。Fisher Islandの平均所得250万ドルと比較すると、所得控除割合がかなり大きいことが目立つ。ただし、フロリダ州には州税がないため、州税の所得控除がないことにも起因しているかもしれない。日本の寄附金控除とは異なり、自ら立ち上げた慈善団体に寄附することが多い。

 

トランプ政権での2018年度新税制では、州税の控除額の上限が1万ドルに制限されたため(昨年までは上限なし)、寄附金の出し方が変わるかもしれない。しかし寄附金控除の上限が50%から60%に引き上げられたので、寄附金が上がるという予想もある。

 

やはり日本と異なり、富裕層が段違い、桁違いに多いアメリカ。日本はアメリカと比較すると、やはり貧しい国だと実感するが、日本での新税制ではサラリーマンの所得8万ドル(850万円)を上限に課税強化されている。桁がゼロ2つ違うじゃないかと思うのは私だけではあるまい。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
中野剛志著 『真説・企業論』 講談社現代新書 800円+税
この本はPHP研究所の編集者、佐藤義行氏から貰った。氏とはいつも最近の本について論じ合うので、頼もしい先生でもある。
この本には「ビジネススクールが教えない経営学」という副題もついている。入社3、4年目の若い部下が「起業してイノベーションを起こしたいから、会社を辞めます」と言い出したら、あなたは上司として何と言いますか。「起業はリスクが高いと思うけれど、敢えてリスクに挑戦するというのは立派な志だ。是非頑張りたまえ」と背中を押してあげますか。アメリカでは、シリコンバレーのように若者がリスクをとってベンチャー企業を次々と起こし、イノベーションを生み出している。それに比べて日本では、リスクをとってイノベーションを起こすベンチャー企業がでない。だから日本経済は長く低迷している。はたして、それは真実なのか?アメリカでは、経済の金融化や株主重視の企業改革から、ストックオプションと自社株買いによって、短期に金儲けができる役員、従業員が大勢できた。その結果、ベンチャー企業の開業率は低下し、イノベーションの起きにくい国となってしまった現実を知らなければならない。
ところが日本は1990年代半ば以降、そのアメリカを真似て、金融制度や企業統治の構造改革を進めてきた。日本のベンチャー企業の開業率が低く、イノベーションが起きなくなったのは当然、アメリカの真似をしたからである。そもそもアメリカのハイテク・ベンチャー企業を育てたのは、専ら政府の強力な軍事産業育成政策である。シリコンバレーは軍事産業の集積地であり、アメリカ政府は、軍事産業の育成の一環として、ハイテク・ベンチャー企業に対して公的な資金の供給を行ってきたのである。日本にはそれがまったくない。

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