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アップルやグーグルなどは、まだ課税逃れを続けられるのか?

平成30年度税制改正のなかで国際課税の大幅な課税強化が行われた。恒久的施設(Permanent Establishment)、つまりPE関連規定において、税逃れを封じ込める改正を行った。外国企業が日本国内で事業を行っていても、日本にPEがなければ、日本で稼いだ利益に対して、日本は課税できない。改正では、日本にPEがなくても、その外国企業の専ら、または主として、その企業に代わって契約をするような代理人を日本人においている場合には、PEが日本にあるとして、日本で得た利益として日本国が課税できるようになった。そして支店や事務所・工場等を日本に置いている場合にも、それが準備的・補助的なものでない限りPEに該当するとした。これらの措置はなにも日本に限ったことではなく、EU、ヨーロッパ諸国でも同様の措置を講じている。

 

しかし、これではおぼつかない。アメリカのアップルやグーグルのようなIT関連の巨大企業などには、このPE対策では歯が立たない。フィナンシャルタイムズによると、EUでは一般企業は実効税率23.3%で法人税を納めているのに対して、アメリカのIT企業は9.5%であるとしている。IT企業は、どこの国で稼いでいるのか特定するのは難しい。見えないからだ。したがってアイルランドなどの低税率国に形式上の本社を移し、税負担を軽くしている。あまりにも行き過ぎた租税回避だとして、EU委員会はアイルランド国に対し、アップルに与えた節税額1兆7千億円(130億ユーロ)を追徴課税で取り戻すよう命令を出した。しかし、このようなことを繰り返してもイタチごっこである。

 

そこでEUはデジタル課税を新しく設けようとしている。名称は新しいが実際はアナログ課税である。これは日本もそうだが、法人税は利益に対して課税する。これをやめようというのだ。では何に課税するかというと、利益ではなく売上高に課税する。そして売上高に3%を課税すれば、年間7000億円(50億ユーロ)の税をIT企業から取れると踏んだ。

 

その他アマゾンなどの問題もある。アメリカの巨大企業をめぐってはOECDなども非常な関心があり、PEがなくても課税できるなどのルール作りに各国、懸命である。19日から、この議論と最終決着をアルゼンチンで開く20か国(G20)財務相・中央銀行総裁会議に委ねているが、森友学園問題で初めて麻生財務大臣が欠席する。G20では重鎮なだけに、森友最優先の国は大丈夫か。

 

 

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別冊宝島編集部編 『誰も書かなかった昭和史の謎』 宝島社 680円+税
戦後日本の復興と経済成長を象徴する「昭和」の時代に置き去りにされた数々の謎、「封印」された迷宮、「もう、お話ししてもいいでしょう」ということで書かれた。トップには、芸能界の神話「山口百恵」の育ての親が語ったデビュー秘話と電撃引退、スポーツでは運命の清原・桑田ドラフト、その驚くべき舞台裏や、いまだ墓のない「ジャイアント馬場」の封印された半生など週刊誌ネタも多いが、「世界革命」を夢見て飛び立った「よど号」メンバー9名の数奇な人生には注目したい。今なお北に残る4人のメンバーは望郷の念を募らせているらしいが、田宮高麿の謎の死や、人質となったヒーロー山村新治郎国会議員がわが娘に殺されたり、ハイジャックされたときの機長が国民的英雄となった石田真二氏。あまりにも有名になったために、愛人問題が週刊誌で騒がれ、それが原因で日航を退職した後は職を転々として、晩年は夜間警備員となった。当時、脚光を浴びた人々の数奇な運命などを記した著である。

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