代表者ブログ

ここまでやるか富裕層いじめ、日本の税制改正

2018年01月15日

年々、追い詰められる日本の高所得者。2018年度税制改正では、今まで役員報酬など、サラリーマンとしての必要経費である所得控除は、昨年から上限を設けられていたとはいえ、年間220万円は認められていた。それが195万円となった。年収1000万円を超えると、220万円であったのが、年収850万円を超えると195万円しか認められなくなった。年収850万円以上は富裕者だから、195万円の所得控除で十分、税優遇しなくても豊かな生活が送れるはずだということである。年収850万円といえば、手取り額は多分600万円台であろう。住宅ローンの返済も毎月あるかもしれない。子が高校生や受験生であるかもしれない。年収850万円のサラリーマンは生活に余裕を持って経済的にも心配のない生活を送れているのだろうか。

 

また、生活保障の意味から基礎控除が誰にもある。これは38万円であった。この基礎控除は所得控除や公的年金控除がそれぞれ10万円減らされるので、せめて基礎控除ぐらいは10万円上げようということになって48万円となった。しかし所得金額が2400万円を超えると、16万円減らされて32万円、2450万円を超えると、さらに16万円減らされて16万円となり、2500万円を超えると、また16万円減らされて基礎控除はゼロとなる。

 

相続税関係でみると、小規模宅地特例というのがあって、賃貸の用に供していた宅地は200㎡部分が評価額の50%減額の特例というのがある。都内では一坪2000万円以上の一等地で60坪くらいの敷地の賃貸ビルを、相続税対策のために購入すれば10億円であっても、相続税評価額は2億円程度というのがザラだ。これは、宅地が自用地から貸家建付地の評価になり、その評価から、さらに半額となるからである。金持ちの唯一といっていいぐらい残された大型節税対策の一つだ。これが今回の改正で、亡くなる前3年以内に購入すると、この小規模宅地の特例が使えなくなった。この改正で都心部の賃貸ビル1棟売りは冷え込むのではなかろうか。東京オリンピックの2年前から不動産価格は下落するかもしれない。

 

また最近流行っていたものに、自社株を一般社団法人に移すという節税策。一般社団は持分がないので、誰のものでもない。したがって相続税がかからないというスキーム。しかし、これも一定要件下でダメになった。一般社団も相続人とみなされて、より高い相続税がかかることになった。

 

以上のように、ことごとく富裕層の節税対策が封じ込められたうえに、所得税が増税である。これでは財産は次世代に引き継げない。富裕層は、そんなに悪いことをしているのだろうか。
昔、大蔵大臣をしていた渡辺美智雄氏の言葉が思い出される。「金持ちを粗末に扱う国はやがて亡びる」と。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
森本あんり著 『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 NHK出版 780円+税
トランプ政権が誕生し、1年が経った。アメリカ政治の動向は予想しがたくなっている。そもそもトランプが大統領になると思ったメディアはなかったぐらいである。著者は、これら一連の現象を「宗教」だとしている。
宗教はその土地や文化に適応し、かつ変化してゆく。この「土着化」のプロセスを経てキリスト教はアメリカに根付き、アメリカ独特の論理を作った。キリストによれば神と人間の関係は片務契約で、神は人間が服従してもしなくても一方的に恵みを与えるものとした。しかしキリスト教がアメリカに土着するにつれ、双務契約になった。つまり、人間は神に従うことで、神は従う人間に祝福を与えるというもの。「正しい者ならば、神の祝福を受ける」という双務契約の論理は、「神の祝福を受けている人なら、正しい者だ」という論理になり、これが資本主義の論理の一つになった。アメリカで作られた福音「富と成功」である。トランプは二度も離婚し、キリスト教信者かどうか、あやふやだが、不動産王として成功者といわれているから、神も祝福しているということである。アメリカの大統領に当選するのは、知性的なエリートではない。トランプは選挙戦で、反知性主義の大衆運動を最大限利用した。エスタブリッシュメントへのアンチテーゼである。ジョージ・ブッシュが勝ったのもそうである。対立候補のゴアはハーバード大卒の秀才。アメリカ人が選んだのは「頭のいい奴と一緒にいると何か窮屈だ。でもブッシュならビールを片手に座って気楽に話せる相手」だと。

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