ブログ

ビットコインに対して、アメリカIRSの見解

私は今、太平洋上を東に進んでいる。一週間程前にはJALの777が離陸直後に火を噴いて羽田空港に引き返したとかで大騒ぎになったが、幸いにもUA033便は暗い中ではあるが、静かに飛行しているようだ。

 

ところで、最近BitcoinがBitcoinとBitcoin Cashに分離した。この際、Bitcoin所有者は同等のBitcoin Cashを受け取ったが、これを税務上どう取り扱うかが問題となっている。BitcoinについてアメリカIRSは、これは通貨ではなく物(Property)であるという通達を出している。

 

ウォール・ストリート・ジャーナルやフィナンシャル・タイムズの社説によると、BitcoinはOrdinary Incomeとして取り扱われるべきだとしているが、現在のBitcoin Cashの価格は210ドルから426ドルで取引されていて、Ordinary Incomeであれば、Bitcoin Cashに対して最高で39.6%の税金である。しかし、Net Interest Income Taxとなれば、わずか3.8%の税金で済む。そしてProperty Divisionであれば、Bitcoin Cashを受け取った時点での課税はなく、そのBitcoin Cashをドルに替えた時点での課税となる。

 

しかし、IRSは現時点では何のコメントも出していない。それより、IRSは、Bitcoinを利用した麻薬取引、マネーロンダリング、脱税、テロリスト資金に関わる取引に神経質になっている。つい最近、IRSはChainalysis社というBitcoin取引をトレースできるソフトウェア会社と契約し、犯罪に関わるBitcoin取引の炙り出しに躍起となっている。

 

日本と異なりアメリカではBitcoinを物として扱っているので、通常の取引で損益が発生すれば申告の必要があるが、年間800件ぐらいしか申告していないという。IRSはこの結果から、Bitcoinによる収益に対してはほとんど申告していないと考えている。ついにIRSは、昨年11月にBitcoinのトップ取引所であるCoinbaseに対して召喚状を出し、Bitcoinの全ての取引データを提出せよと命令した。すったもんだの挙句Coinbaseは今年7月になって、2万ドル(220万円)以上の取引について取引者全員の取引内容をIRSに開示することになった。

 

ニューヨーク・タイムズなどによると、IRSはかつて、オフショアやスイスで財産・所得を隠ぺいし脱税を行ったアメリカ人を逮捕したように、Bitcoinでもやりたいように脱税した者を捕捉しようとしていると。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、株式の売買と同様にBitcoinの売買も詳細にその記録をつけておかなければならない。そして、食事や日用品の購入のような個人使用目的でBitcoinを売却する場合には、Gainは課税されるがLossは損金にならないので要注意であるとしている。

 

平成29年度税制改正で日本では、Bitcoinはモノではないのでその取引には消費税が課税されないと規程された。アメリカと同様、日本もBitcoinから生じる損益に明確な税務判断が下されていない。何事もアメリカの指針を参考にしての日本の税制、はたして、平成30年度新税制でBitcoin税務上どう扱われるのか。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
安藤優一郎著 『相続の日本史』 日本経済新聞社 850円+税
古今東西を問わず、相続を巡る争いが歴史を動かしてきた。天皇家、摂関家、将軍家、大名家における相続争いは、その象徴といえる。
本書は歴史研究家として定評ある著者が、古代から江戸時代まで、知られざる事例も挙げながら権力の基盤と相続争いをキーワードに読み解くので、この国の歴史を、大変興味深く、かつ、驚きをもって読める、最近で数少ないヒット作でもある。
古代に起きた壬申の乱は、大海人皇子(天武天皇)と大友皇子(弘文天皇)が皇位を巡って繰り広げた、日本最初の内乱である。中世に京都を戦場として起きた応仁の乱では、将軍職や守護大名家の家督争いが絡み合った末に、東軍と西軍に分かれ戦場は全国に広がった。また、豊臣秀吉の跡を継ぐ、関ヶ原の争いも有名である。
古代、天皇は終身在位が慣例だったが、大化の改新を契機に譲位が始まる。日本で最初に譲位したのは皇極天皇である。皇極天皇は、女性天皇としては推古天皇に次いで2人目である。推古天皇の時代は天皇が崩御するたびに皇位を巡る争いが繰り返されていた。推古天皇は敏達天皇の皇后だったが、継承問題で争いが大きくなり内乱状態での、推古天皇の即位の際、次の天皇を約束させられた。つまり用明天皇の子、厩戸皇子が次期天皇としての地位を約束させられる。この方が聖徳太子である。推古天皇を飛ばして聖徳太子が天皇に即位してもよかったが、当時、年齢制限があった。太子は574年生まれであるので、20歳に達していない未成年である。
この本は、このように日本の歴史に引き込まれる。一気に読める。

関連記事

  1. 税金滞納者に対しては、ついにパスポート取り上げ、アメリカ
  2. なぜ香港か、タックスヘイブン利用会社、脱税摘発
  3. 日本の消費税、海外企業まで課税
  4. 「国外財産調書」をめぐって初の摘発
  5. EXIT TAXとはなんぞや
  6. 引退後の人生、どの国に住みたいか
  7. アメリカの確定申告書の処理、大幅遅れ。
  8. 同性婚を合法とするアメリカ最高裁の判決

アーカイブ

PAGE TOP