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クレディスイス、まだあるアメリカ人秘密口座

私は本日、ロサンゼルスに向かうのだが、その前に、またしてもアメリカIRSの情報が舞い込んできた。かつて、このブログでも書いたが、2014年2月、US Senate Committeeはクレディスイス銀行がアメリカ人の所有する100億ドル(1兆円)の資産をアメリカIRSに秘匿しているとされ、3か月後クレディスイスはこれを認め、隠していたアメリカ人の口座を全て洗い出し、何と記録的な罰金26億ドル(2,600億円)をアメリカ政府に支払った。その後、いろいろな問題が出たが、クレディスイス銀行はアメリカ人の口座を全て開示し、ペナルティーを払い、今後はこのようなことはしませんということでケリが着き、一件落着となった。

 

ところがブルーム・バーグによると、IRSが別件で調査をしていたところ、クレディスイスから報告を受けていない200万ドル(2億円)のアメリカ人の口座が見つかった。この人の名はDan Horskyといい、アメリカ市民権の他、イギリス及びイスラエルの国籍を保有(決して珍しいことではない)しており、このほど11月4日、本人は脱税していたことを認めた。IRSは、既に1年以上IRSに協力しているクレディスイスがアメリカの税金を隠ぺいする目的で、イスラエルにクレディスイスのHorskyの口座を開設したかどうかの調査を開始した。

 

Horsky(71歳)は口座が発見されないように様々なトリックを施した。彼はもともとニューヨーク州北部Rochester大学のビジネス科の教授で、マーケティングとゲーム理論を教えていた。1995年にクレディスイスの口座から18社以上ものスタートアップの会社の株式を購入したが、ほとんど全滅し、借金が35万ドル(3,500万円)となり、家を担保に借金を重ねるという生活が続いた。ところが2008年、奇跡が訪れ、投資していた株式が花開き、彼に8,000万ドル(80億円)が転がり込んできた。しかし、彼は確定申告で700万ドル(7億円)しか申告せず、さらにその金を再投資し、結果、資産が2億ドル(200億円)まで膨れ上がった。

 

Horskyのクレディスイスでの口座は、イスラエル人の顧客を専門に持つスイスのチューリッヒにあるイスラエルデスクで取り扱った。ところが、UBSがアメリカIRSに対しアメリカ市民権者の口座及び現金に隠ぺいを認めた2009年になると、クレディスイスにもアメリカ政府からかなりの圧力がかかり、Horskyの口座も“Toxic”口座とみなされた。彼の口座はHorsky Holding等の会社名の他に、IRSの目をかいくぐるように他人名義でも口座を開設。2011年には知人にサイナー(サイン権)を与え、2012年にはクレディスイスのアドバイスで数か所のオフショアの会社にHorskyの代わりに役員に就任している。2013年になると、IRSに情報が行かないように知人はアメリカ市民権を捨て外国に移住した。その知人は自分の資産や海外所有資産を開示せず、虚偽のアメリカ市民権放棄書類を提出したとしている。

 

裁判所によればHorskyの申し立ての中で、2011年までForeign Bank and Financial Account Report(FBAR)の報告を行わず、2012年、2013年は不正な申告書を提出したとして、追徴税額の他に何と1億ドル(100億円)をペナルティーとして課された。これはアメリカ史上最高額の罰金である。Horskyは昨年12月、Rochester大学を退官しているが、彼が罪を認めた今年11月7日、名誉教授のタイトルを辞したと報告にある。

 

彼の不幸は全く別の人の税務調査をしていたところ、たまたま見つかったことであり、日本のSMBCの社員が巨額の使い込みがバレたのも、他の税務調査からであった。「天網恢恢疎にして漏らさず」の教訓であろうか。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
平野敦之著 『できる男の老けない習慣』 青春出版社 1,000円+税
著者は和歌山県立医大卒で、アメリカ、ピッツバーグ大学メディカルセンターに留学し、移植免疫学を研究した。
なぜ、あの人はいつも元気で若々しいのか。「見た目」が本当の年齢であり、それには2つの男性ホルモンがカギを握る。「テストステロン」と副腎で作られる「DHEA」。これらのホルモンが減ってくると、肥満、肌のハリ・ツヤ、毛髪の量など見た目の問題をはじめ、生活習慣病などの健康面、うつ病などの精神面、そして「夜の生活」にも大きな影響が表れてくる。そして日々、「コンビニ弁当を食べることが多い」「休日は家でゴロゴロしたい」「マラソンが趣味だ」が要注意で、このような男は「最近、筋肉が落ちてきた」「最近、物覚えが悪くなってきた」「おしゃれに気をつかわない」「よく眠れない」「どうもやる気が起きない」ということになってくる。これは全て2つのホルモンが関係している。この2つのホルモンの分泌を盛んにさせるにはどうしたらよいかを本書は述べている。非常に中高年の男性に役立つと思うが。

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