米国IRSとスイス政府の約束が反故に!

米国の富裕層が資産隠しのためスイスのUBS銀行に秘密口座を所有し、それを米国の国税庁(IRS)が摘発したものの、具体的に誰の秘密預金がいくらあるかまでは、UBS銀行の協力が得られなければ証拠としては極めて脆弱である。

 
そこで、米国政府はUBS銀行に対して、UBS銀行に口座を持っている米国人7万人の情報開示を迫ったのである。情報開示をする、しない、ですったもんだの挙句、米国政府は、もし開示しないのであればUBS銀行の米国における銀行免許を取り上げるとまで言って恫喝した。
 
結局UBSは折れたが、スイス政府はその開示口座を極めて悪質な米国人4450人に限るとした。そうして米国IRSにそれらの口座を開示しようとしたが、今度はスイスの裁判所が待ったをかけ、口座開示はスイス国内法に抵触するのでダメだとした。
 
そこで政府は、それならスイスの銀行法を改正して、口座開示をできるように国会に上程した。そして上院を通過したが、今週、下院で否決されてしまった(反対107、賛成76)。そこでスイス政府は米国政府との約束ごとであるので(政府間の約束ごとと言えば普天間問題もそうだが)、もう一度修正法案を作り、再度国会に上程すると言っているが、8月中に口座内容の受け渡しをする約束には間に合わないとマスコミは騒いでいる。
 
もし、スイス国会を通過しないのなら、国民投票にかけても成立させると意気込んでいる。スイス政府は、アメリカ政府との合意に基づいた法案を国会で否決することにでもなれば「スイスという国の評判を著しく落とす」、従って同国の輸出産業にも悪影響が及び、その損害ははかり知れないと言っている。
 

鳩山首相はオバマ大統領にトラスト・ミーと言ったが、一国の首相が約束したことは、国が約束したことであり、普天間問題は沖縄だけの話ではなく、日本という国の、その処理を世界中が見ているのである。日米安保だけではなく、日本の信用がかかっている。脱税者のリストを渡す、渡さないの問題ではない。少しはスイス政府を見習ってはどうだろうか。