報道によれば、09年度の所得税収がなんとバブル以前の昭和58年と同じ程度になるということだ。その当時は消費税もなかった。さらには法人税収は64%減。09年度の税収見積額は当初約46兆円、これが昨年12月に約37兆円に修正された。筆者の見るところ、最終的には(7月に判明する) 34兆円もあれば良い方だと思う。赤字国債などの発行額は既に年間税収より10兆円も多い額で、先進国では群を抜いている。ギリシャの問題は決して対岸の火事ではない。
政府筋では所得税収の落ち込みの原因は、87年には70%だった最高税率を40%まで引き下げたことが原因の一つだという意見があるが、どこの先進国で40%もの所得税を適用している国があるというのだ。どこの国も、所得税の最高税率を引き上げれば経済の活力がそがれる、という危機感から最高税率の設定には限界があるということである。引き上げれば税収が増えるというものではない。
かつてバブル期に、当初税収見積りより実際は7兆円も余分に税収入を得た年があった。一番の原因は地価の高騰であった。なぜ地価が上昇すると日本の税収入が増えるのかというと、地価が上がるということは土地取引が活発になるということ。土地の取引を想像していただきたい。
土地を売買しようとするときに、売買契約書をまく。それに収入印紙税がかかる。お互い手付金、中間金、残代金を受領の都度、これまた領収書に「収入印紙税」がかかる。そして購入した土地の所有権の移転登記に「登録免許税」がかかる。そして登記が終わると「不動産取得税」の納付書が都道府県から来る。所有すると市町村から「固定資産税」と「都市計画税」の請求が来る。その不動産を所有したまま亡くなると「相続税」がかかり、相続税対策として途中で子の名義にすると「贈与税」がかかる。贈与しないで売却すると「譲渡所得税」「譲渡住民税」がかかる。
このように日本の税制は土地が基本となっていて、地主にたかる傾向は豊臣秀吉の検地以来である。日本の税構造は地価が上がらなければお手上げなので、もうそろそろ地主頼みの税収期待を転換しないといけない。言うまでもないことだが、先進国で一番低い消費税を引き上げることしかない。海外出張が多い筆者は、外国のレストランで食事したり、ホテルの宿泊代金を支払う際、あれ?いつの間に消費税あるいはSales Taxが上がったのかと思うことは度々ある。これらの税金を上げるのに大騒ぎしないのである。日本の政治家は安全保障より消費税の方が恐いのである。
日本人は潜在的に税金は金持ちや土地持ちが払うべきで、庶民は払うものではないという江戸時代、いや有史以来の考えがある。普天間の問題も、考えてみれば、ゴミ焼却炉や火葬場は必要であるが、自分が住んでいる近所に来て欲しくないという発想である。昔は「お国のために」という日本人の美徳があったが、いつの間にこう変わり果てたのか。
