鳩山首相は財源確保のため、個人所得税の最高税率を引き上げる可能性を示唆した。現在日本の所得税率の最高は50%(所得税40%、住民税10%)。これは年間所得が1800万円を超えると適用される。
さて、イギリスでは予算編成方針(Pre-Budget Report)で、金融機関で支給されるボーナスに対して50%の「銀行支払賞与税」(Bank Payroll Tax)が創設される。これは2万5000ポンド超の高額賞与に対して課され、しかも日本と同様、会社の損金に算入されない。したがって雇用者側にとっては60%の税コスト増となる。一方、イギリスの2010年度税制改正で2009年までの個人所得税率の最高が40%であったものが、今年の4月1日から50%に引き上げられる。これが大変な問題になってきた(既に日本は50%であるが)。ヨーロッパ諸国はギリシャの問題やPIIGSの経済問題を抱えているが、GDPの一人当たりの額はイギリスがトップである。
イギリスで所得税の最高税率が引き上げられるとどうなるか。日本の富裕層は寡黙である。かつて松下幸之助氏が日本の所得税や相続税のあまりの高税率に、「江戸時代だったら一揆が起こっている」と言った。税率引き上げについて、イギリスのメディアの意見は次の2つである。
①40%から50%の最高税率の引き上げは、イギリス産業の衰退につながる。なぜならイギリス国内に投資する者が減少するからである。
②所得税率の引き上げは、ガーンジー島やアイルランドに移住する者を加速するだけで、イギリスに残るのは貧しい者で、その比率が高くなるだけである。
イギリス政府も富裕層の海外移住が加速すると考えている。このようなことから富裕層への節税対策へのビジネスが活発化し、例えば、税制特例としてキャピタル・ゲイン課税に対しては18%の低率課税となっていることから、所得をいかにキャピタル・ゲインにするかの手法がコンサルティングでうけているようである。
翻って日本を考えると、最高税率が40%から50%になったことで大騒ぎしているイギリス。
既に50%である日本がこれ以上税率を上げると、海外移住する日本人が増えるのではないか、ただでさえ、相続税率が高いからと香港やシンガポールに移住する者が多いのに。いつまでも日本人は日本にしか住めないと考えている鳩山首相や民主党。プロ野球選手の大リーグへの移籍を見るまでもなく、確実に日本人の住む所、働く場所もボーダレスになっていることに気付くべきだと思われる。
