タックスヘイブン税制、日米の差

民主党政権下、はじめての税制改正で1月22日平成22年度税法案が国会に上程された。その中に、国際課税分野でトリガー税率の引き下げとして、従来からの25%が20%に引き下げられたとある。

 
トリガーとはピストルの引き金のことだが、何のことかわからないという読者のために解説すると、税金がゼロか無茶苦茶に低い国のことをタックスヘイブン国という。このタックスヘイブンに会社を置き収益事業を行っても、ほとんど課税されないため、税逃れ目的で、このような国に子会社を置き節税する者が後を絶たない。このため先進諸国は合算課税を行って、タックスヘイブンにある子会社の利益を本国の会社の利益とみなして、本国で課税するのである。これをタックスヘイブン税制と呼ぶ。
 
このタックスヘイブン国の定義であるが、日本は法人税率等が25%以下の国や地域と定めていた。根拠は、以前日本の法人税率が50%(今は約40%)であったので、その半分以下の税率の国がタックスヘイブンとみなされたわけである。ところが、世界の潮流でどんどん法人税率が下げられ、今や日本は先進諸国では唯一、40%の国になった。そして中国25%、マレーシア25%、韓国22%となり、日本企業が大挙進出しているこれらの国がタックスヘイブンになってしまった。ということで、今年から20%以下の国をタックスヘイブンとした。
 
一方、米国ではオバマ大統領が2011年度予算案において、企業が米国本社からタックスヘイブンにある子会社に特許、商標、ライセンスなどの無形資産を移転して、過剰な収益を米国の子会社が得た場合、即座に米国で納税することが義務付けられるという法案が上程された。IRSのシェルマン長官によると、米企業が1982年~2004年に移転価格などの手法を用いて海外に移転した収益は2000億ドル(約18兆円)に上るという。
 
これに対して、マイクロソフトやヒューレットパッカード、コカ・コーラなどの巨大企業は反発し、このような節税を認めないという増税案が米企業の競争力を弱めると批判し、「政府の政策当事者を教育しなければならない」と堂々と徹底抗戦の構えをみせた。ちなみに米国では、タックスヘイブンの定義は法人税率が10%以下の国々となっている。
 

今や日本の税率の高さは、法人税、所得税、相続税、固定資産税では群を抜いてナンバーワンである。日本経団連を始め、日本の風土か知らないが、民主党の暫定税率の撤回や資産税の増税に対して国民もサイレントである。その昔、松下幸之助氏は「個人の所得税率がこれほど高い国はない。江戸時代だったら一揆が起こっている」と言った話が懐かしい。