日本の報道機関、呆れる税法の無知

先日、国会で与謝野馨元財務大臣が鳩山首相に対して「鳩山邦夫(首相の弟)さんがぼやくんですよ。うちの兄貴はしょっちゅう、おっかさんのところへ行って『子分に配るカネが必要だ』とお金をもらっていた」という話を邦夫氏から聞いた、と衆院予算委で話した。それに対して首相は「全くの作り話だ」と声を震わせながら答弁した。テレビも新聞もこの件に関しては、各社論調はほぼ同じ、当日の与謝野氏と首相のやり取りを報じていたに過ぎない。

 
筆者は言いたいのは、鳩山首相は嘘を言っているということだ。彼は1か月に1500万円が母親から振込まれていたことを知らないと言っている。次に一年間で1億8000万円、5年間で9億円もの金を母親から受け取っていたという事実が発覚したから贈与税の申告をし、延滞税やなにやら合算して6億円以上の税金を納めたというのである。
 
そもそも贈与というのは、税法上の契約の一つである。あげますという人とそれをもらいますという人が互いに契約を結ぶのだが、書面でそれを行うのが原則だけれど、口頭でも贈与契約が成立することになっている。
 
ブログの読者の中で資産家の方が暇つぶしに次のようなことをしてみるとおもしろい実験になる。毎月あるいは毎年、子あるいは孫の預金口座を作り、そこに1000万円あるいは1億円を定期的に振込むのである。5年、10年続けても、税務署から贈与税の課税決定を受けることはないのである。何故なら、その金を子あるいは孫がもらいますとは言っていないからである。勝手に振込むのは自由だが、日本は受贈者課税なので、受贈者が贈与税の申告書を提出しない限り贈与税はかからない。
 
首相は毎月1500万円が振込まれていたのを知らなかったら、国税局は贈与税の課税決定を法的に出来ないのである。唯一贈与税がかかるのは、もらった子孫がそれを自分のために贈与と認識して使った場合だけである。その代わり、あげた人が亡くなればその人の相続財産として、子や孫に今まで振込んだ金は合算される。今回の件も、鳩山首相が1500万円を振込まれていたのを知らなかったわけだから、知った段階でもらったお金を返済すると言えば贈与税はかからない。
 
鳩山首相が贈与税の申告書を提出して、贈与税を納めたという意味は大きい。本人は母親からの贈与と認識していたのである。それには客観的な証拠もあったに違いない。どのマスコミもこのことについて触れた記事や報道がない。資産税は難解だが、国会議員はいざ知らず、せめて一流のマスコミはこれぐらいの専門知識を持ち合わせておいて欲しい。