鳩山首相の母からの毎月、毎年の現金受領。つまり母から毎月1500万円(1年間に1億8000万円)、5年間で9億円を政治献金として報告していた。首相の公設秘書が東京地検特捜部の事情聴取に対し、首相の母から振り込まれた資金などを個人献金と装い「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に虚偽記載したことについて、「個人献金を多くし、報告書の体裁を良くしたかった」と供述。
この公設秘書は同会の2004~2008年の政治資金収支報告書に虚偽記載した収入総額約6億7千万円のうち少なくとも、①故人など実際に献金していない人を寄附者と記載したのが2100万円、②寄附者名を記載しない5万円以下の小口献金計1億7700万円、③パーティー券収入と偽ったものが1億5000万円、とそれぞれ記載したと言っている。首相は、これら一連の母からの資金提供について、政治献金ではなく、借入金でもなく、贈与だと言われれば贈与税を支払う用意があると言っている。
はたして、そんなものだろうか。当初は母からの貸付金だと言ったのだ。一般に親子で金の貸借が認められるのは、①金銭消費貸借契約書を締結し、それには返済期限、毎月の返済金額、それに利息を明記しなければならない、②実際に契約書に基づき返済している事実があること、が最低限必要である。10年も前から息子の口座に毎月1500万円が振り込まれているのが貸付金なら、贈与税をまじめに払う者はいなくなる。さすがに貸付金と言い張るのは非常識だとご自分でもわかったのか、贈与税を払うと言い出した。
税法的に言えば、贈与がバレたので贈与税を払えばよいのだろうとする理屈は、盗んだのがバレたから返せばよいのだろうという論理と全く同じ。贈与税の申告書は不提出なのだから、無申告加算税(15%、50万円超は20%)、それに加算税が付く。しかし不正行為による過少無申告は重加算税である。これは税額の40%である。そして贈与税を納付した日と、実際にその年度に納付した期間に延滞税がかかる。延滞税、年14.6%の率で計算されるからすごい金額になる。たぶん9億円の贈与に対して9億円以上の納税となるはずだ。
この件は、まさに脱税、重加算税の適用対象となる。それは単純に申告しなかった茂木健一郎氏と違って、仮装隠ぺいをしたのである。献金に装ってしたのだから罪は重い。そうなると逋脱罪(脱税犯)といって刑事罰となり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金という事になる。かつて金丸副総理はこの件で有罪収監になった。税法は秘書がしたとか、他人が勝手にしたとかは通用しない世界。つまり自主申告納税制度を日本がとっている以上、自己責任で申告する義務がある。現職首相だからと検察や国税局が情状すれば、それこそ内閣がひっくり返る事態が生じるかもしれない。
