鳩山首相、非課税国債に興味

官僚たちは以前から鳩山氏のことをニックネームで「おぼっちゃま」と呼んでいた。それはそうだろう。父威一郎氏は大蔵事務次官を務め、母は石橋正二郎氏の愛娘であったのだから。

 
筆者は35年間、税制改正論議を見てきたが、相続税の負担を減らすべきだと唱えた首相は、細川護熙氏と麻生太郎氏しか知らない。彼らは大変な資産家で自ら相続税の納税で苦しんだ経緯もあろうが、日本の相続税はいかに大変かを肌で感じていたのではなかろうか。細川氏の相続税に対する概念は非常におもしろく、「親の財産を努力もせずに手に入れるのだから、それ相応の税負担をするのは当たり前だが、親孝行の子と親の面倒もみない子が同じ税負担というのはおかしい」と言い出し、親と同居していた子がその住居を相続すれば、200㎡までの部分は何と80%も減額するという「小規模居宅用宅地の特例」(措法69条の3)を創設した。麻生氏も贈与税の軽減に動き出したが、ご覧の通りの参敗で、志半ばで退陣した。
 
ところで先日、官邸で経済界の懇親会が催された際、非公式に鳩山首相は何人かに、無利子国債(非課税国債)を発行したらどうだろうかと持ちかけたが、持ちかけられた人のうち、伊藤元重東大大学院教授は「無利子国債を購入する人は少ないと思います」と答えて、その話はそれで終わりになった。筆者は、そうは思わない。非課税国債を発行すれば、現在1600兆円といわれる個人の金融資産があるのだから、少なくとも5兆円は購入するであろう。昨年1年間の相続税・贈与税の収入は1.5兆円程度であるので財政は潤う。さらには、堂々と非課税国債を購入することで、海外に逃げる相続財産の防止にもつながるのではないか。
 

筆者は鳩山家の相続税対策は大変なんだなと思った。無利子国債とは、その国債を購入しても利子はつかないが、その国債が遺産となっても相続税はかからないというもの。鳩山首相が所有しているブリヂストン株式は約350万株、最近は1株1600円前後なので、計算すれば株式だけで凄い財産になる。鳩山首相が亡くなれば、半分は税金に持っていかれる。ご自身が相続するときに、それを目の当たりにしている。首相の故人献金が問題になっているが、一族が所有するブリヂストン株を管理している「六幸商会」、配当金だけでもどんどん貯まり、それが相続税の対象になるくらいだったら、今のうちに献金と称してどんどん吐き出した方が得策だというのは彼だけではないだろう。