ストックオプション課税、日米の隔たり

このほど医療品業界世界ナンバーワンの「ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)」の元日本代表で、長く経済同友会の幹事も務めたMH氏が所得税法違反容疑で東京地検に捕まった。MH氏は米国法人のJ&J、つまり日本法人の親会社からストックオプションで得た1億6000万円、その税金約8000万円(所得税、住民税)を脱税した容疑である。

 
ストックオプションとは、自社株を予め決められた通常よりかなり低い金額で購入する権利。自社株の時価が上がった時点でこの権利を駆使して株を売却すると、かなりの株式売却益が生じる。本来なら、株式譲渡益課税は現行10%だが、日本の所得税法では、この株式譲渡益は給与所得とみなされ、最高50%の税率になる。
 
MH氏は米国で得たストックオプションの利益1億6000万円に対し半分も税金で持って行かれるのはバカらしいと思い、この金を隠そうと考えた。そこでシンガポールに口座を開設し、その口座に米国で儲けた金を振込んだが、怪しまれないように、そこから法人名儀の預金など複数の口座に移し替えた。そのようにすれば日本の税務署からはわからないと思い、その金は隠し続けることができると確信したに違いない。
 

筆者は以前からブログに書いているが、海外を利用した節税対策はそれなりにすればよいが、香港とシンガポールはダメである。あまりにも、課税当局の目が光っている。今回の件も、米国から日本を飛び越えシンガポールに振込んだ、まではよく考えたものである。問題はシンガポールから日本に送金した事にミスがある。頭隠して尻隠さず、である。天網恢恢疎にして漏らさずではないが、ストックオプションで得た利益が給与所得と認定される現行法であれば、このような脱税を考えることも理解しないではないが、日本だけがこのような重課税では、先ず労働意欲がそがれるのではないか。民主党は現行法の所得税等が最高50%というのは低いと言っている。もし65%~70%になれば、ボーダレスの世界では、日本で優秀な人は働かなくなるのではないかと心配する。