最近の私のブログではUBS銀行、スイス政府とIRS(米国国税庁)米国司法当局のバトルで、米国富裕層の資産運用の海外を利用した租税回避について、オバマ政権は執拗な調査をスイスならびにオフショアに対して行ったことを書いてきた。
その結果分かったことの一つは、驚くべき多数の富裕層の人たちが海外に資金を逃避させていることだ。今回の調査は預金や債権に限ったことであったが、宝石や絵画、金その他の物まで及ぶとなると天文学的な金額になるであろうことは想像に難くない。
一方、日本はどうかというと、もともと納税意欲が旺盛でない日本人は、出来れば税金を納めたくないと考えている。相続税などはその典型で、よく新聞で「アパート経営セミナー」の広告を目にするが、つまりアパートを建てれば所得税、相続税は安くなるというので住宅販売会社が行っているのであり、昭和のバブルはまさに土地の時価と路線価格の乖離を狙ったための土地需要喚起であったのだ。その時代でさえ、富裕層はハワイや米国に密かに不動産を購入していたのだ。私の経験則からいって、日本の富裕層のかなりの人たちは、もう既に海外に資産移転を行っていると思っている。武富士事件などを見るまでもなく、それは巨額に上っていることであろう。
遅ればせながら東京国税局はこのほど、7月に着任した荒井新局長のこれらの件に対して調査の方針を明らかにした。その一つに「個人富裕層の資産運用が最近、国際化・複雑化している状況になっていて、それに対して対応していく」という。そして東京国税局に初めて、国際的租税回避スキーム解明プロジェクトチームを設置し、今年中には統括国税実査官(国際担当)のポストを設け、同チームと連絡を取り合って脱税行為を摘発するとしている。
とはいっても、現実にはこれに投入する人員は限られている。私見だが、今までも複雑な海外事案を東京国税局は処理してくれるが、東京や大阪以外の国税局には、理解してくれる人はいないと言ったほうが正解だろう。移転価格税制などは対応できるが、個人の資産税に関してはお寒いばかりだ。何よりも超富裕層の資産運用についての思考回路を理解することが出来ないのだ。
まして米国のように強力な軍事とドルを背景に他国を威圧する、というような税務調査が出来ないことぐらいは北朝鮮をはじめとする外交を見ても良く分かる。ますますキャピタルフライトに拍車がかかりそうなのが懸念される。
