UBS問題、思わぬ方向に展開

スイスのUBS銀行を利用してアメリカの富裕層が租税回避をしていた問題で、約1万人の脱税者リストがUBSから米国当局に渡り、なんとなく決着したかと思われたが、あらぬ方向に進展しそうだ。UBSのボランタリープログラム(当局が摘発する前に自発的に修正申告すれば刑事告発しないというもの)のお陰でUBSだけでなく、他のスイスのプライベートバンクが芋づる式に名前が出てきたという話。

 
これによると、クレディスイス、Julius Bear Holding AG、Zürcher Kantonalbank and Union Bancaire Privée (UBP)の各行、現時点では黒という物証はないが、今後調べてゆくうちにUBSと同じようになる銀行も出てくる可能性がある。驚くべきことに、米国司法省はUBSは当て馬に過ぎず、これから名前の出てくる銀行やコンサルタントによっては、もっと脱税者を捕獲することが出来るのではないかと言っている。
 
次にUBSをはじめスイスの銀行はこれに懲りて脱税の片棒を担ぐのを止めたかに思えたが、反省の色もなく、次にしたことは、米国に対しスイス銀行団はブッシュ元大統領のトップのロビイストであり、現在Hogan and Hartson弁護士事務所のパートナーであるCandida P. Wolffを雇い、ワシントンでの巻き返しに出た。さらに、スイス、バーゼル市ベースの銀行団のコミュニュケーションのヘッドであるJames Nason氏はワシントン、ニューヨークの政府、メディア関係だけでなく、北アメリカ全体に対して今回の件について今後どのようなメッセージを送るべきかを考えていると言って、世論を通じての反撃を企てている。
 
今回のUBS騒動でスイスの銀行に対し米国での世論はかなり低下しており、また、オバマ大統領は今年に入り、外国銀行に対し米国顧客情報開示を義務づけることを提案している。また、Sen. Carl Levin (D., Mich.) and Rep. Lloyd Doggett (D., Texas)は、IRSがスイスに口座を持つ米国人を罰し易いように、スイスをブラックリスト34カ国の中のひとつに加えようと法案化を図っている。
 

このような逆風の中で前出のNason氏は「スイス側からみれば、米国政府は米国の税法をスイスに輸出しているように見える」とコメントしており、どのような政治的な巻き返しを図るのかスイスのしたたかさがみものである。