UBS問題もいよいよ大詰めを迎えている。8月10日(スイス時間)にスイスでは夏休み中にも関らず緊急閣議を開き、UBSとIRSの問題につき議論を行った模様で、いよいよIRSに顧客データの引き渡しの要求に従う日が近づいたようだ。
この話し合いの中では米国政府に対する譲歩はすべてスイス法の下、合法であり、且つ迅速に行われるように細部の確認を行った模様だが、スイス政府は和解が正式に合意されるまで詳細についてのコメントは控えるとしている。このケースに関係する弁護士によれば、スイス政府は52000口座の情報引き渡しにはかなり抵抗したようで、最終的には10000口座ほどが引き渡されるのではないかとのこと。
このケースにここまでスイス政府が関るには、それだけUBSにとってもスイス政府にとっても事が重大であるということを表しており、実際スイスにおいて銀行業はスイスのGDPの8.5%を占めることからも容易に推測される。スイス政府にとっては米国政府をある程度満足させながら、銀行業に長期的なダメージを与えず、スイスの秘密法を弱体化させずに米国当局と和解に持ち込むという微妙なバランスを考え、このケースに決着をつけなければならない。
スイスのHans-Rudolf Merz 大統領は、顧客の権利を一時停止させるような、緊急に法的な力を利用することは考えていないとテレビでは言っているが、今回顧客情報を開示され場合、UBSの顧客はスイス政府に対し法的な遡及を行う考えがあるとのこと。
これでスイスもリヒュテンシュタインやルクセンブルグのように銀行秘密法の形骸化が進むのか、和解の内容がどういうふうになるのか大変興味深い。もしスイスも形骸化が進むのであれば、シンガポールや香港も時間の問題である。
いずれにしても新たに秘密口座を米国司法当局に引き渡される1万人のうちIRSに名乗り出ていない者たちは、生きた心地がしないのではないか?52000口座のうち42000口座の者は助かるとすれば、あまりのもラッキーだ。
これら一連のスイスの銀行を舞台にした租税回避方法はこれで終焉を迎えるのではないか。200年も続いたこれらの方法は極めてアンティークな古式豊かな手法であるが、時代遅れもはなはだしい。時はめまぐるしく移り変わってきている、アナログからデジタルである。富裕層もオーソドックスな従来型脱税方式を脱却して次世代式節税方法に取り組まなくては、それこそ身ぐるみはがされるのは目に見えている。
