驚愕の事実、IRSの調査方法

ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を読むと、UBSの米国人顧客の脱税行為の摘発は、二人の執念による永年の調査が実を結んだとしている。一人は無名のバージニアのIRSエージェント、Mr. Reeves、もう一人は顧問弁護士のMr. Mcdougal。この二人は、スイスのUBSが過去数十年にわたりマイアミにおいて、どのようにして顧客を獲得したのかを調べた。そしてさらに驚くべきことに、UBS銀行と脱税行為をしている顧客との間のメールには秘密の暗号があり、例えばオレンジ色でメールを書いた部分はユーロを表わし、グリーンが米ドルとし、1百万ドルを白鳥(スワン)としていたことがわかった。100羽の白鳥とグリーンで書けば、1億ドルというわけだ。Mr. Reevesは国税職員として30年のベテランだが、彼は税務調査は全ての米国人納税者にするのではなく、怪しい人だけにする(audit those who to be audit)と公言している。

 
今回UBS銀行事件の摘発のキーワードは「呼出状」と「クレジットカード」ということになる。米国のIRSの「呼出状」は連邦裁判官の承認を経て出されるので、「呼出状」に応じない場合にはIRSは強制執行することができる。そして二人が掴んだ事実は、租税回避行為をしている米国人はほとんどクレジットカードを使用しているということ(当たり前だが)。ただ、クレジットカードの決済がオフショアにある銀行口座で行なわれているという事実を掴んだ。従って、オフショアにあるその決済銀行に対して米国は「呼出状」を出し、徹底的に調べた。何を調べたかというと、クレジットカードがどこで使われて、オフショアの銀行にどこの銀行から決済資金が振込まれているか。それを調べあげた。
 
その結果、UBS銀行からの振込みが最も多く、何万口座も調べた挙句、UBSのクライアントが5万2000人出てきたわけだ。今までブログにも書いたが、9月末まで「悪うございました。私もUBSを使って脱税行為をしました」と自ら名乗り出た者には、特別恩赦として脱税額とペナルティを払えば犯罪に問わないとしてきたが、それを過ぎると犯罪者として収監される危険が増してきたので、今アメリカではこの種の弁護士に対して相談が急増している。
 

教訓として、かつてライブドア事件ではメールのサーバーが検察庁によって調べられ、メールのやり取りの文がそのまま証拠書類となった。以後、秘密のメールは送受信しなくなった。今回の事件の教訓は、クレジットカードというのは、使った額、使った場所、決済口座の資金の流れがすべて当局に監視されているということだ。電話も盗聴される危険があるので、「怪しい人達」の伝達手段は「手紙」、決済は「現金」が最も安全であるということがわかった。