7月13日にマイアミ連邦地裁で裁判が行なわれることになっていたが、米国司法省、UBS銀行、スイス政府の三者が裁判の延期に合意したと発表した。前のブログで筆者は裁判所も困り果てているとしたが、スイス政府はいかなる判決が出てもスイスの主権から米国の判決に従わないと、直前になって言い出したからだ。そこで両国は裁判による解決ではなく、何とか和解で事を納めようと考えた。つまり歩み寄って、双方の顔が立つ落し所を探り始めたのだ。
スイス政府がスイス国内法の銀行秘密法に抵触せず口座開示できる方法としては、その口座開設にあたって詐欺的行為があった場合とされている。そうしてみると、米国IRSが口座開示を要求している5万2000口座のうち、約7000口座はオフショア法人やオフショアの信託が絡んでいて、限りなく脱税行為に近いと考えられており、この悪質な7000口座の開示に限られるのではないかと見られている。
和解の道を米国が採るとは限らないが、今までの米国司法省の断固としたスタンスは、少し和らいできているのも事実である。ただ裁判所がUBSに対し開示の判決を出し、UBSがこれに従わない時は米国裁判所侮辱罪を適用し、これまで以上の制裁を加える用意があると、一方では脅すことも忘れていない。オバマ政権はオフショアを利用した税金逃避を根絶するという方針に変わりはなく、この問題は結着がつくまで暫く目を離せない。
