国税庁は先ほど、平成21年分の路線価を公表した。全国約37万地点の標準宅地の平均路線価は1㎡あたり13万7千円で、前年比5.5%減で4年ぶりのマイナスとなったとした。全国の最高路線価は24年連続で東京銀座五丁目の鳩居堂前で1㎡あたり3,120万円(前年比2.0%減)、近畿の最高路線価は26年連続で大阪梅田の阪急百貨店前の1㎡あたり904万円(前年比5.8%減)である。路線価は何を基に決められるかというと、国土交通省が発表する公示価格。公示価格の80%を目安として決めているという。
私はいつも疑問に思うが、この度も、東京や大阪の一等地が1年間に数パーセントの下落で済んだのかということ。
この1年で不動産投資信託(Jリート)の縮小やリーマンショックの影響などもあり、上場企業である大手ディベロッパー、不動産会社が相次いで倒産した。これらの倒産の多くは監査法人から突きつけられた減損会計、つまり在庫として持っている土地は価値が下がったから、50%あるいは70%評価を落として下さいというもの。土地を所有することは上場会社にとって大きなリスクということをこの1年で証明したことになる。今や定款の事業目的に「不動産」があると、銀行の融資に支障を来たすとあって、次々に宅建の免許を返上する会社が相次いでいる。
特に東京都心部の値下がりがきつく、今や一等地のテナント賃料も下落の一途である。国税庁が公表した都心部の値下がりが僅か2%が本当だとすれば、不動産会社やゼネコンがこれほど土地売却を急いだり、慌てたりすることもなかった訳で、特に監査法人が減損会計を指摘することもなかったのだが?しかし実態は大きく値下がっている。マンションでさえも投げ売りが相次いでいる。
公示価格や路線価は何を参考にするかといえば、売買事例である。例えば坪100万円の土地が1年間で50万円に値下がったとする。しかしこの50万円はこの土地を実際に売買しない人達の参考価額である。この地主は例えば100万円で買った土地だから、とりあえず100万円で売りに出たとする。しかし誰も買わない。誰もが半値が妥当と思うからである。ところが路線価は100万円に近いところで判断する。不動産屋が100万円でこの土地を売りに出しているからである。買いたい人の価額を不動産屋は広告できない。つまり株でいえば「売り気配」の価額が時価なのである。
もっとわからないことがある。全国一高い銀座の鳩居堂前の土地。この土地の価額が昨年に比べ2%下がったとあるが、戦後60年を経ているが、この鳩居堂前の土地を売買されたことがない。大阪の阪急百貨店前も同じこと。半世紀も売買されたことのない土地の価額が何故わかるのか?不思議である。
路線価は何故必要かといえば、相続税や贈与税の計算の根拠になるからである。つまり国の税収のもとなのである。路線価はこのようなことから、高い方が税収入が豊かになるのは当然である。路線価の高いところはもう何十年も実際の取引価格がないのであるが、精通者の意見価格をもとに決定していると国は言う。精通者とは誰なのか?これは政府が決めた人達で構成しているのであるが、はたして納税者の方の意見も参考にしてくれているのであろうか?
