先ほどOECDから報告書が出された。つまり34か国・地域の長官らが参加した第5回OECD税務長官会議(FTA)があり、日本からも国税庁長官らが出席した。この会議のなかで税務当局と個人富裕層との関係に大きく触れている。報告書の日本語訳が出たので、それを見ると「①濫用的租税回避(ATP)スキームの類型やATPの供給者、個人富裕層の動機を把握すること、②個人富裕層が懸念するプライバシーや資産保全、将来世代への資産移転等に対する商業上の認識の高まり」の問題点を指摘し、国税当局においては、個人富裕層専門担当部署の創設をするといった提言である。
これとは全く別の報道、ウォールストリートジャーナル誌に、このほどIRS(米国の国税庁)はオフショアに投資している米国人に厳しい取締りを開始したとある。詳しく述べると、ヘッジファンドやプライベートエクィティと取引している投資家に対し、全ての開設口座をIRSに開示するようにせまっている。この前のスイスのUBS事件では、IRSがUBSに対し、UBSに口座を持つ米国人を開示せよだったが、今度はもう一つ踏み込んで、全米国人のオフショア等に口座を持っている者に対し要求している。
米国では過去数年にわたり、米国外の銀行や証券会社に口座を所有している米国人に、その口座の開示を行なうレポート(FBAR=Report of Foreign Bank and Financial Account)のファイルを要請してきた。しかし今まで弁護士等は、この要請に強制力はないとしてファイルしなくてもよいとクライアントに言ってきた。ところが、この前の6月12日のIRSのコンファレンスコールで、全ての外国にある口座を6月30日までにIRSに報告せよという通達が出た。この通達に慌てた投資家たちの抗議により、6月24日の午後になりIRSは全ての税金を納付しており、かつ、最近になりこの通達を初めて知った投資家に対してのみ9月23日まで履行を延長するという通達を出した。FBARはTDF90-22.1というフォームだが、実際に書き込むとなると、かなり詳細に網羅されているので、正直に記入できない米国人はあまりに多いと考えられる。
米国はケイマン、バミューダのオフショアにあるヘッジファンド資産は1.3兆ドル(約120兆円)あると見ているので、とりあえずご近所の米国人の資産から手を付けたい模様だ。何しろ、これから予定される巨額財政支出の足しにでもなればという思惑かもしれない。
