ついに出た、オバマのタックスヘイブン乱用防止法案

現在UBSと争っている米国IRS、何が何でも匿名口座で持っている脱税資金をあぶり出そうと必死である。何でアメリカがこれほどまで脱税資金を追求するのか?日本のメディアは全く書かないが、重要なことなのでこのブログで皆さんに知ってもらいたい。

 
リーマン倒産以後、GM、フォード、シティ、AIG等々、公的資金も70兆円を超え、日本の国家予算も超える勢いで膨らんでいる。多分アメリカは国債を発行するなどして手当てするだろうが、はたしてアメリカの財政は持つのだろうか、と心配する向きがある。
 
どうもオバマ政権は、個人の相続税、贈与税、所得税を逃れた脱税資金で、不足資金のある部分を補おうとしている。というと、日本人は、脱税資金を挙げたところで、所詮、焼け石に水程度だろうと思っているだろうが、この考えは余りにもアメリカを知らない。
 
米議会に今度提出を予定しているアメリカの個人の租税回避行為防止法案は、”Stop Tax Haven Above Act”(タックスヘイブン乱用防止法)と呼ばれる。タックスヘイブンとは、税金が全くかからない、あるいは、かかっても極めて低い国をいう。有名な5カ国は、アンドラ、リヒテンシュタイン、サンマリノ、モナコ、スイスである。特にリヒテンシュタインはヨーロッパ諸国から地続きであるので、利用者が多く問題となっている。次に問題なのがスイス。
 
読者の諸兄は、これらタックスヘイブンに存在する金融機関にある匿名口座の資金総額をご存知だろうか。びっくりしないで欲しい。約7兆ドル(700兆円)なのである。ちなみにIRSによれば、毎年個人の課税漏れの資金のうち10兆円がタックスヘイブン諸国に流れているという。700兆円のうち10%の70兆円はドイツ人の課税漏れ分だとドイツ政府が言っている。アメリカ分は500兆円だという説もある。いずれにしても、オバマ大統領もこれだけあれば、今の経済危機が救えると思っても不思議ではない。
 
乱用防止法案は4章から成り立っているが、タックスヘイブンを利用することを事実上できなくしている。さらには、租税回避等のプランを立案して事業としている専門家に対する規制も盛り込まれている。アメリカの歴史上、これほど富裕層をターゲットにした税制はかつてなかった。
 
今回はアメリカ人が預金口座を作ってはいけないという国を34カ国(これを指定国という)指定した。以下の通りである。
アンギラ、アンティグア、バーブーダ、アルバ、バハマ、バルバドス、ベリーズ、バミューダ、英領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、クック諸島、コスタリカ、キプロス、ドミニカ、ジブラルタル、グレナダ、ガーンジー島・サーク島・オルダニー島、香港、マン島、ジャージー島、ラトビア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、マルタ、ナウル、オランダ領マンティル、パナマ、サモア、セントキッツ&ネイビス、セントルシア、セントビンセント&グレナディーン諸島、シンガポール、スイス、タークスケイコス諸島、バヌアツ
 
この中で特に注目されるのは、シンガポールである。シンガポールは法人税率が18%であり、他の指定国よりもかなり高税率だが、日本の村上ファンドが行ったように、匿名口座の情報交換に応じないのがその原因としている。
 
アメリカの経済危機の深刻さは想像を絶するが、これを富裕層の秘密資産で補填しようとしているオバマ大統領。いずれ日本も公的資金云々が叫ばれるだろうが、財務省、国税庁はどう出るのだろうか。