スイスの金融最大手UBSは顧客の脱税を助長してきたことを認め、米国司法当局は犯罪訴訟を取り下げる代わりにUBSは7億8,000万ドルの和解金の支払いと、250人のアメリカ人の「秘密口座」の開示につき同意したと発表された。
日本ではなぜか報道されていないが、ウォールストリートジャーナル誌によると、この和解が成立した翌日、米国司法当局はUBSに対し更に、所得隠しに使われている5万2,000人とも言われる米国人口座を全て開示しろという訴訟を起こした。
これに対しUBSは、口座の身元開示をUBSの従業員が行うことは、スイスの犯罪法に抵触することになるので出来ないという見解を発表し、今度は高飛車に出た。更に、アメリカ司法当局の訴訟はスイスの法律を無視して、そしてスイス国の主権を無視するものだと猛反発に出た。IRSがこのような理不尽な要求をするということは、アメリカ政府は両国合意のもとで作成したアメリカ-スイスの租税条約に異議を唱えようとするものであり、米国政府はスイスとの租税条約の中で、どこまでの情報をどのように開示するかを規定あるいは改定するのが筋であり、いきなり租税条約を無視して訴訟という形で、人の家に土足で踏み込むようなマネはやめてくれ、法治国家であるならルールを守れと主張した。
「窮鼠猫をかむ」のことわざ通り、スイスのUBSは250人の秘密口座だけは開示したものの、それ以上は絶対に譲らない構えを見せている。アメリカもたった250人でジ・エンドになってしまえば「大山鳴動してねずみ一匹」であり、メンツもない。この争いの第2ラウンドは案外スイスの強かさが、再び信用を取り戻すのではないかと思われる。見ものである。
