例年のことであるが、日本独特のバレンタイン騒ぎ、神戸のチョコレート製造会社が考えたものらしいが、最近はだんだんエスカレートして高級チョコの売場は若い女性でごった返す。クリスマスのデコレーションケーキと並んで、世界に類のない日本だけのお菓子会社のための祭りである。
なかでもゴディバは有名だ。ブログ読者の女性でゴディバのトレードマークを知っている人は少ないのではないだろうか。グリコはバンザイする選手、不二家はペコちゃんとあるが、ゴディバの箱を見ればすぐわかる話だが、全裸の美女がコートを羽織って馬にまたがっている図である。なぜこのようなエロチックなトレードマークにしたのだろうか。これは11世紀半ばの実際にあったイギリスの物語で、この美女の名が実は「ゴディバ」。当時、重税で苦しめられている人々を救った有名な女性なのである。
この美女の夫はレオフリックといって、イギリスのコベントリーという村の領主であった。日本でいえば江戸時代の代官といったところである。実はこの領主は悪代官で、農民から過酷な税金を取り立てていた。そのため農民が重税に喘ぎ、娘を売ったりしてその飢えをしのぐ者も多数出ていた。
それを見かねた夫人のゴディバは夫に、私たちは貧しくなってもよいから、農民たちの税金を軽くしてくれと懇願した。すると夫は「お前がもし、服を全部脱ぎ馬にまたがって町中を歩いたら、お前の望を叶えてやる」と妻に言ったのである。昨今の、歌舞伎町で働くギャルとは違い、当時の貴婦人のこと。人前で肌を少しでも露出するようなことは憚られた。しかし、それでも夫人は、「わかりました。裸になって馬で町中を歩きます」ということになった。
それを伝え聞いた町中の人は、夫人に感激するとともに、夫人が町に来る日がわかると、家という家は窓を閉め、誰も表には出ずに、馬に乗っている夫人を見ないように申し合わせた。そして農民は重税から解放されたといわれる。ゴディバの創始者は、この夫人の勇気と深い愛に感銘し、自らのブランドに「ゴディバ」の名を冠した。
後日談だが、世の中には常に半端者はいるものである。町の誰もが全裸の夫人を見ないように申し合わせたのに、1人だけ窓から覗き見をした男がいた。トムという男である。この時から、日本でいう「出歯亀」つまり覗き見のことを、英語ではピーピング・トム(Peeping Tom)というようになったのである。
日本も消費税率の引上げを阻止するには、これぐらいのことをやらないといけないか?
