赤字法人は3分の2

国税庁はこのほど、平成19事務年度(平成19年7月~平成20年6月)の法人税の申告状況や調査概要を公表した。

 
それによると、申告した法人数は279万9千件となり、昨年より12,000件増加したが、申告した法人税総額は13兆7,036億円と逆に去年より7,542億円減少、黒字法人割合は32.3%と昨年に比べ0.1%減少し、会社数全体の3分の1にも満たなかった。黒字会社の申告所得金額は合計で55兆2,871億円で、赤字会社の申告欠損金額は合計で16兆1,878億円であった。
 
税務調査を行った件数は14万7千件、その結果、申告漏れがあった法人は10万9千件、申告漏れ所得金額の合計は1兆6,259億円となっている。また、仮装・隠ぺいなどの悪質な不正計算があったものは3万2千件(前年度比0.5%増)で、不正計算の発見割合は21.7%となり、その不正脱漏所得金額は4,268億円となっている。
 
不正発覚割合の高い業種は、6年連続でバー・クラブがトップとなり、不正発見割合は何と58.1%。バー・クラブに税務調査が入れば、間違いなく100%申告漏れで、そのうち悪質とみなされる重加算税がうたれる割合は、2件に1件以上というから凄い。不正申告1件当たりの不正脱漏所得のトップは「建売・土地売買」で5,292万円となった。リーマンショック以後の景気からして、「建売・土地売買」は首位の座を明け渡すのは確実だと思われるが、昭和の時代の不正計算の御三家は、パチンコ、ラブホテル、病院であった。時代と共に脱税業種も移り変わる。
 
重加算税も度重なると逮捕まで発展する。初犯でも、3億円以上だと先ず身柄を拘束される。そして、新聞にも載るという訳だ。この調査年度で前科が1犯付された事例を以下に述べる。
 
(1)日本国外に子会社を5社保有する工事用品の輸入業者の場合は、海外子会社の業績が良く、従って、海外子会社から日本親会社に配当をしていた。しかし、配当金は日本親会社に送金せず、現地に預金口座を作り、そこに送金させ、日本の税務署にはわからないだろうということで、日本親会社の決算書には受取配当金を除外していた。
     こういう海外法人を使った脱税はなかなか判明しないものだが、何故ばれたのかというと、最近この会社は新たに海外に子会社を作った。その際、出資金を日本親会社から現地に送金するのだが、送金事実がない。不思議に思って税務署がよく調べてみると、今まで除外して貯めていた配当金をその出資金に充てていたというもの。何とお粗末な話ではないか。(不正脱漏所得金額 2億7,000万円)
 
(2)この会社は外国人労働者の人材派遣業を営む法人である。設立以来、法人税、消費税とも申告されていない。休業届が出ている。暇でもなかったのだが、税務署が一応本店の登記場所に言ってみると、一応事務所があり、更に引き出しの中から預金通帳が見つかり、入金がかなりあることがわかった。この会社は休業中を装い、意図的に無申告を繰り返していた事実が把握されたとして、不正脱漏所得金額1億900万円が決定された。尚、人材を派遣しているので、源泉徴収が義務付けられるが、当然無申告なので、源泉所得税追徴税額2,200万円を併せて取られた。
     現在「休業中」として税務署に届け出れば、税務署はまず調査しない。そこを突いた大胆な脱税だが、税務署側は「事業実態を確認するため納税地の事務所に臨場した」としているが、それはまずない。100%近く確信するのだが、ばれたのは「内部告発」であろう。最近、脱税の内部告発が多く、告発者は社員、元社員、役員の他、代表者の家族というのまである。くれぐれも気を付けたいものだ。